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Man Made Cocoons (2013)

共同制作: 角谷啓太、花形慎

​ 素材:ホウ硅酸ガラス、拾って来た有機物( 鳥の羽根、花弁、虫の死骸等)

 <高レベル放射性廃棄物のガラス固化体によってあたかも実証されているかのような、ホウ硅酸ガラスの永遠性によって、自然の循環の鎖を切り離す>

 

ホウ硅酸ガラスは、通常のソーダライムガラスに比べて熱膨張係数が低く、化学薬品に強い。いわゆる耐熱ガラスである。このような特性を買われて、放射性廃棄物の処理にも使用される。原子力発電所で燃料として使われたウランとプルトニウムを回収し、さらに再利用した後の廃液・核分裂生成物等を含む放射性廃液を、ホウケイ酸ガラスに混ぜ込み、密封して処理するのだ。 ガラス固化体と呼ばれるこの廃棄物は、数十万年~1億年もの間地下で保管することが想定されている。だが、当然ながらこの間の人の生活様式の変化やそもそも人類が数十万年後も存続しているかどうかは、まったく予測不可能である。 この工学理論的に予測される巨視的時間単位を、芸術の伝統において永遠性が重用視されるのと同じ構造で捉え、「永遠性」が保証されたと見る。ガラスの中の有機物は、「制作者」の理念の上では「永遠に閉じこめられる」。 しかし実際には、意図しないなんらかの不測の事態によって、割れてしまうかもしれない。それは作品の破壊、理念の破綻だが、ガラス球にとじこめられた有機物が土に還る、つまり地球上での循環のサイクルの中に戻るという意味においては再生であ り、希望である。

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