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≪ S/O ≫ ( ≪ O/S ≫ )  (2018 - )

共同制作: 花形慎、小久保晴太郎、角谷啓太

​ 素材:EMS(筋肉電気刺激装置)、リープモーション(傾きセンサー)

本作品では、筋電気刺激(EMS)を用いた触覚のみで、もう一人の体験者と数種類のジェスチャーを送り合うことによって「コミュニケーション」をとる。体験者は、体験中ずっと他者とジェスチャーを送りあっていると教えらる。しかし、実際には、体験の途中から、体験者同士のコミュニケーションは切断され、体験者自身による、もう一方の体験者へのジェスチャーへの反応パターンが自動的に返ってくるようになる。そして、最終的には、体験者の送信したジェスチャーと同じ種類のジェスチャーが返ってくるのみとなる。

この体験は、「自己の中の他者」を発見を促す試みである。

他者と思い込まされていた存在が徐々に自分に成り代わっていくという体験は、他者は自己の反射像にすぎず、外界を認識する行為は全て自己の内側で起こっている、というような、閉塞的で独我論的な世界観を想起させるかもしれない。
しかし、EMSによって、自分の意思と無関係に腕を動かされ、「身体」という境界を踏み越えながら行うインタラクションは、他者を自分のなかに内包していく行為でもある。このことを、「自己の中の他者」が見出されると捉えれば、むしろ「私」という強固に見えた境界が揺らぐ。そして、自己の境界が不定であることこそが、他者や世界とのアクセスを可能にしていることに気付かされるのではないだろうか。

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